私の原点

最近になってわかったことだが、自分がこれから本格的に手掛けたいと思っている「ナレッジベース」の原点が、遡ること約35年前の体験に基づくものであることが判明した。私が小学1年生の頃、学研の「チューター」というコンピュータ学習教材を使って勉強していた。いわゆる「CAI(Computer Assisted Instruction)」である。仕事で忙しい両親が「普段なかなか勉強を見てあげられないから」と、入学祝いに用意してくれたのだ。生まれて初めてのコンピュータとの出会いであった。乏しい記憶を辿って説明すると、特殊加工されたテキスト(問題集)を電子下敷きの上に置いて解答欄からYes/No、もしくは三択問題から1つ番号を選んで、電子ペンで押すと液晶パネルに「あたり/はずれ」と「次のページ数」が表示される。「次のページ数」とは、あたりの場合は次の問題のページへ、はずれの場合は解説・復習のページである。つまり、習熟度に応じて適切にナビゲートされるしくみである。これで学校の成績が上がったかどうかは定かではないが、1年間ぐらいはその教材を使って勉強したと思う。自分のペースに合わせて楽しみながら学習することができたと思っている。決して生活は楽ではなかったが、両親が子供のためを思って勉強嫌いの自分に合った学習環境を用意してくれたことに感謝したい。
ともかく、それ以降、CAIやAI(人工知能:Artificial Intelligence)などで使われる「知識データベース」というものに興味を持ち始めた。対象としては、「お医者さんの自動問診システム」「機械翻訳」「Prospect Planner(イギリスの就職支援システム)」など様々なものへの適用事例を見てきた。そして、いつかそれに携わりたいと思うようになった。世はまさに「Web2.0時代」。「ブログ」「SNS」「口コミ/レビュー」などの「集合知」や「イントラブログ」「RSS/ATOM/FOAF」「メタデータ」「セマンティックWeb」「電子図書館」「リポジトリ」...、実に様々なナレッジベースがウェブを通じて、相互運用され始めてきている。
私の長年の想いが、徐々に実現さしつつある。私もここらで何か1つサービスモデルを起案して実装に移してみたい。それが私の生きる道(というか最大のモチベーション)ではないかと思っている。