最大の難関は現場の運用と現場の意識

システム開発&導入時にいつも思うことは、「システムありきではうまくいかない」ということだ。

パッケージ(既製品)であれ、作り込み(独自開発)であれ、システムがあれば何でも解決してくれる、と思うのは幻想だ。

特に、パッケージの場合、現状の運用にジャストフィットするものなど皆無に等しい。必ずや、カスタマイズ(海外ものの場合ローカライズも)が必要になる。パッケージ導入の場合の最大のポイントは、カスタマイズ比率である。これが低ければ低いほど、初期導入コストは下がるし、後々のメンテナンスコストも抑えられる。
そのためには、現状の運用を、できる限りパッケージに合わせることだ。ワークフローをシンプルにして、役割と権限を明確にする。つまり、システム機能を最大限に生かせるように運用を見直すのだ。場合によっては、組織構造や人事を見直す必要もある。

要は、現状の運用を変えない限り、パッケージ導入は考えられないと言っても過言ではない。特に、大きい組織では運用が煩雑で、数多くのレアケースに対応しており、場合によってはステークホルダーへの影響も考えられるため、すぐに運用を変えるのは難しい。

しかし、複雑多岐にわたる運用パターンをすべてシステムに組み込もうとするのは、どだい無理な話で、不透明な運用部分を不透明にしたままで何とかしたい、などもっての他だ。自分たちが変わろうとせずに、システムだけに過剰な期待をするのは、虫が良すぎるというもの。

私の現組織では、「チャレンジをしない」「責任を取らない」という人が多すぎる。というか、そういう文化なのだ。トップダウンが効かないし、外圧によってしか変わらない(いや、外圧でもたまに潰されてしまうのだが)。そもそも、明確な人事評価制度がない。つまり、「頑張った人がバカをみる割の合わない組織」なのだ。

業務を最適化し透明性を高めるのに、必ずしもシステムは要らない。
イデア一つで、劇的に業務が改善されることもある。きちんと、QC活動で現状を把握し、要因を分析し、目標を設定し、対策を考案し、実践&効果測定すれば、改善効果が得られるのは歴然だ。まずは、組織全体のビジョンの明確化(トップの意識改革)と自己実現目標の明確化(メンバーの意識改革)を行い、次に、それらのマッチングが重要なのではないか。「組織が個個人のチャレンジを奨励し、皆がJustIdea!を出し合って、利用者へさらなる良いサービスを提供しつづけようとする」文化というか組織体質にならなくてはいけない。過去の遺産やブランドに胡坐をかいて何もしなければ、淘汰され、衰退してしまうだろう。

「動かないシステム」と「変わらない組織」は当面続きそうだ。
私の役割は、そこに「効果的にミサイルを撃ち込んで行くこと」だと思っている。根は深く壁は高いかも知れないが、諦めずに粘り強く頑張って行きたい。