MakeIT21 on 2007.12.29

今年最後のMakeIT21である。

ゲストは、株式会社オークファンの武永修一(たけなが・しゅういち)さん。
経歴は以下の通り。

1978年 兵庫県神戸市生まれ。生後すぐ千葉県柏市へ。
1997年 山口県宇部高等学校卒業。京都大学法学部に入学。
2000年 在学中に、個人事業としてオークション事業を開始。
2004年 株式会社デファクトスタンダードを設立。代表取締役に就任。
2007年 株式会社オークファンを新設分割。代表取締役に就任。

ショーンさん曰く「20代のイケメン社長でTVじゃないのが残念」とのこと。国内最大級のオークション・ショッピング比較・検索サイト「オークファン」を手掛ける精悍な顔立ちの社長のようだ。

会社の由来は、「オークションのファンが集うサイトであってほしい」という願いから設立された。事業内容は、価格比較ではなく「相場検索」。

ネットオークション事業は約8000億円の市場規模。認知度高く、代表的なのものとしては「ヤフオク」、「モバオク」などがある。「個人出品&個人購入」がベース。オークションサイトの運営ではなく、「最も高く売りたい」、「高く売れるサイトを知りたい」という欲求に応えること。目標としては、最近「ポータル」が乱立しているので、それらを俯瞰する「ポータルのポータル(ゲートウェイ)」を作りたい、とのこと。

では、なぜ相場検索か?
商品の履歴、過去の売れ筋がわかる、膨大なデータがある。それらはオークションサイトが持っているので、それらを活用してより見せ易くすることとリテラシーの敷居を下げてあげること。オークションサイトにとってもメリットも大きい「強力な呼び込みサイト」である。

現在、ユーザ数は120万人/1000万人。登録のみユーザも多い(半分ぐらい)から、120/500万人程度。今後は、パソコンに慣れてない人も対象となりうる。

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起業のそもそものきっかけは?

デファクトスタンダード」という会社が元々あり、そこで自らオークションをやっていた。データの抽出、横断検索、分析、マッチングなど技術力が求められる会社となった。自らヘビーユーザーだったことも大きな要因。

大学4年で個人事業を始める。京都大学法学部、弁護士を目指して司法試験予備校に行っていた。2年ぐらいはまじめに法律の勉強していた。

自腹で買ったPC(22万円)があった。本格的にPCの勉強をしたかった。リテラシーを高めたかった。それを売りたい。PCショップで「全部完品で4万円」と査定された。TVでネットオークションが熱いと言っていた。個人が個人に売るというのは面白いと感じ、そのPCを出品してみた。酔っ払って帰ってきてオークション状況をみたら、5万1千円にみえたが、実は15万円になっていた。そして、これを軍資金に、さらにオークションを進めたところ、軍資金15万円が3倍ぐらいになった。評価してもらえる喜びを実感する。そして、どういう風にしたら高く買ってもらえるかについての研究を進めたいと思うようになった、とのこと。

しかし、成功までの道のりは決して順調ではなかった。友達に事業資金(数十万)を持ち逃げされたり、事業化した後も、売り上げ急降下したり、事業閉鎖に追い込まれたり、コンサルに詐欺に合うなどなど紆余曲折あった。

そんな状況を変える出来事があった。ある時、ライブドア主催のオークションセミナーに出展したあとに、たくさんのオファーがあったことが転機となる。

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ともかく、数々の困難を乗り越えてきたのは、創業前から一緒にやってきた3人のおかげで、大変感謝している、とねぎらいも忘れない。

学生時代はとんとん拍子に行っていたが、起業して事業が本格化した時愕然とした。自分は経理、法務などなど何も知らないことに気づいた。これも、若気の至りだろう。勢いだけで突っ走る、よくあることだ。逆に、それがないと怖くて、若くして起業なんてできないだろう。

起業当初は、一度社長と言う名詞を持ってみたかった、給料を多く取りたかった。といった、純粋な理由だったが、そのうち、様々な問題が出てきて、それを自分の力で次々と解決して行くことに喜びを感じていった。自分の力で何とかしていける、自分たちだけでも解決していける、ことを肌で感じるということは大切なことだろう。しかし、この時点で挫折してしまうベンチャーがいかに多いことか。

今は「世の中に何かを起こしたい」と思っているが、当初はそんな気持ちはまったくなかった、とは新鮮。ぎらぎらした起業家が多い中珍しい存在だ。

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最後にリスナーへのメッセージは、「好きなことにのめり込んで行けば、道は開けていくはず。最初から強い信念を持っている起業家は半分、残りの半分はやっている内に強くなっていくもの。最初は脱力系でもいいのでは?」とのこと。

なるほど、最初から肩肘張って意気込むのも良いが、「最初は弱火で点火して徐々に加熱して行けばよい」のか。これは、私も含めてベンチャーを目指すプレ起業家にとっては、少し気が楽になるメッセージだったのではないだろうか。

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また、「ショーンズコンサルティング」では、耳の痛い話(というか、目指すべき目標)があった。
相談内容は「職場の部下との関係」。私が最も苦手とする、しかし最も必要なテーマだ。

★派遣も含め、仕事を与えようとしてもチャレンジしない部下が多い。どのように接すればよいか?

ここで、ショーンさんが「ちょっと待ったー!1つだけ気になることあり!!」。
それは、「仕事を与える」という部分。それは部下が本当に望んでいることか?
上司の役割はたくさんある。やろうとしていることは部下と一緒に考えるべき。「ビジョン」、「目標」、「方法論」、「スケジュール」を共有すること。上司が勝手に決めて「これをやれ」っといってもダメ。一緒に考えることで、部下が上司の立場になって考えることができる

IBMのルイスガースナー著「虚像が踊る」を引用されていた。ぜひ、年明けに読んでみたい1冊だ。
オシエテチョーダイから入る

人は一人では仕事はできない。やはり、チームワークは大事なんだな(当たり前の事だけど)。

◎仕事は与えない、考える権限を与えて一緒に考えること

これを、私の来年のメインテーマに据えても良いぐらいの核心を付くテーマだった。

さあ、いよいよ年末年始の準備だ。