課長の品格

一般的に課長は辛いもの。上からは大量かつ的確なデータを要求され、完璧な結果を求められる。
一方、部下からも現場の長としてクールで頼もしい手腕やマネージメント能力を問われる。
しかし、人間そんな完璧ではないのだから、自分一人で抱える必要はない。
思い切って、できないことはできないと言うべきである。自分はどこまでできるかを瞬時に切り分け、上司や部下に伝えて、問題や課題を共有することが必要だ。
これは、当たり前のことで、わかっているはずなのに、意外にできない課長が多い。いや、課長に限らず、部長や係長や一般社員も同じかもしれない。
現場を見渡してみると、一人で抱える人は少なくないのだ。
原因としては、大きく2つあるように思う。1つは、歪んだ成果主義に基づく人事評価制度の弊害と性格の問題である。
つまり、如何に目立つ仕事をするか。手柄の奪い合いである。鵜の目鷹の目で「目の前のおいしい仕事」を奪いに行く。上司に好かれようと、上ばかり見て仕事をする人が増える。
有益な情報は隠し、時にはリークし、足を引っ張る。職場の空気はギスギスして、一番大切なリスペクトなどなくなる。それどころか、イジメまで飛び出す始末。
隣の職場でも、同じ担当の女性同士が熾烈な戦いを繰り広げている。どちらも、年の近いベテランの課長代理なのだ。一人は勝ち気で細かくて自己顕示欲の強い女性Aさん。もう一人は信念があって他人の気持ちを優先するかわいらしいBさん。Aさんは、先人であるBさんを労うことなく、Bさんから仕事を奪い取り、自分の手柄にして平然としている。
課長はAさんに強く出れないために、Bさんに一年間ぐらい我慢させてきたのだか、ついにBさんの堪忍袋の緒がキレた。「いつまで我慢すればいいんですか。おとなしくしてるのを良いことに仕事をシェアすることなく邪険にされた上に、嫌みまで言われて、冗談じゃない。もう限界です。私か彼女のどちらかを異動させてください!」と課長に詰め寄った。
慌てた課長は、「まてまて、落ち着いて。彼女にはちゃんと話すから。」となだめるも「その台詞はもう聞き飽きました。もう信用できません。この場で判断してください!」と今度ばかりは一歩も引かない。

結局、今日はタイムアップとなり、来週までの課長の宿題となった。

そもそも、同じ職位というか身分の同性を同じ部署に置いて2ヘッド体制というのは、無理がないか?仲良しならともかく、価値観やスタンスの根本的な違いは埋め難い事実である。

Bさんの今日の目標は達成したようで、少しスッキリした表情だった。怒りに触れて、とてもじゃないがこのまま週末を迎えられないし引きずりたくない、と言っていたので急場を凌げてホッとしているが、まだ何も解決していない。

さて、課長はどのような結論や考えを持って来週に臨むのか?どちらかを異動させるプランを持ってくるか?二人が仲良くシェアしてやってくれるのがベストだが、それは期待できそうにない。やはり、どちらかの異動は必至だ。私はもちろんBさんの味方だが、さてどうなりますか。来週は課長の品格が問われることになるだろう。部下が仕事をし易い環境を作って仕事の効率を上げたり、部下のモチベーションを最大限上げることが課長の最大の仕事だと感じている。それが出来ないなら、課長を降りてもらうしかない。

今週も疲れる一週間だった。せめて束の間の休日をホッとして過ごしたい。