MakeIT21 on 2008.6.7
今回のゲストは、株式会社ノバレーゼ代表取締役社長の浅田剛治さん。
但し、少し違うのは、
父親が病に倒れたことがきっかけとなり、やむなくリクルートを1年半で退職。
家業のひとつである名古屋の結婚式場の経営を任される。
3年ほどかけて会社のリストラクチャリングを行い、赤字だった業績をV字回復させる。
その後、経営の方向性が父とかみ合わず、30歳の時に退社。
といった経緯で、起業を決意する点だ。
その後、起業から現在までの経歴は以下のとおり。
2000年、自らノバレーゼの前身となる株式会社ワーカホリックを起業。
ドレスショップの経営と婚礼プロデュースから事業をスタートさせる。
2003年、名古屋市郊外に開業した「アマンダンテラス」が大ブレイク。
その後も東名阪を中心に多店舗展開を継続し、2006年10月東証マザーズに新規上場を果たした。
それにしても、「株式会社ワーカホリック」とは、本当に社長が仕事中毒なのか、逆転の発想なのかわからないが、なかなか面白い。でも、ユーザーにしろ、就職活動中の学生にしろ、企業名を見た瞬間、まず避けてしまいそうな企業名である。
さて、ブライダル市場規模はどのぐらいあるのだろか?
- ブライダル市場は約2兆円
- 関連事業を含めると市場規模は約60兆円
- 年間約70万組結婚
また、最近では、ジューンブライドよりも4,5月,10,11月が多いとのこと。6月梅雨で暑いからとのこと。確かに、最近呼ばれる結婚式も6月は少ない気がする。というか、私ぐらいの年齢になると、結婚式に呼ばれる機会もめっきり減ってしまった。これからは、部下の式で挨拶をするか仲人ぐらいかな。まだまだ、そんな風にはなりたくないのだが。ちなみに、私は大雪の降る2月だったなぁ。もう遠い昔で忘れかけているが...
特に、ノバレーゼのように「ゲストハウスウエディング」を手掛ける会社は、参入企業もたくさんあるので、競合が激しいと思うのだが、あえてそこを狙う目的と自信は?
その答えは、ハード・ソフト両面での差別化戦略がある。
従来の結婚式といえば、「白亜の館」,「シンデレラ城」といった建物と「スモーク」,「キャンドルサービス」といった”いかにも系”の演出が多かった。
ノバレーゼが目指すコンセプトとは「シンプルで上質」かつ「大人婚」っぽい演出である。
ショーンさん曰く「今までは、”人と違う結婚式を追い求めるあまり、みんなそれを真似して同じような結婚式になってしまう”ことが多かったのでは」との仮説は正しいようだ。
また、ソフトウェア的なアプローチの1つに「人(スタッフ)」にある。社員の採用から教育までを総合的にカバーしているとのこと。
社員教育ノウハウの原点は、リクルートのモデルにあるらしいが、リクルート退社後、3年で父の会社をV字回復させたのも、それがヒントになっている。
では、一体何をやったのか?
まず、やったことは「社員の意識改革」。
当時の会社は、競争原理が働いていなかったため、優秀な人材を採用し、制度改革を行った。つまり「しくみ」を変えた。
どうしてもリスクが先行するので、なかなか思い切れない部分にメスを入れた訳だ。
「人は信用されないと積極的には動かない。信頼し、責任を与えることが大事」と浅田さんは語る。
しかし、父の会社をV字回復して順調だったのに、なぜ離れたのか?
「リクルートの影響が大きいのか、元々上場企業化していきたいという気持ちがあった。しかし、父は”家業のままでよい”,”他人に会社を任せるのは抵抗がある”という意識が強かったことから、やむを得ず独立した」とのこと。
競合がたくさんいる中で成功する要因とは?
一言「いかに投資を掛けずに、評価を得るかがポイント」とのこと。言うのは簡単だが、実行は難しい。それをやってのけているノバレーゼはすごい。
マーケティング的に言うと、顧客満足度とは、単に「お金を掛ければよい」というものではなく、「抜くところは抜いて、いかに満足感を与えるか」ということだ。つまり、機能てんこ盛りの足し算理論ではなく、うまく引き算をして値ごろ感やコストパフォーマンスを最大限出すことなのだ。それには、式を支えるスタッフ全員の意識が合っていないと達成し得ない。スタッフ教育を含めたしくみ作りの重要性を痛感する。逆に言うと、成功している企業の大半は、社員教育に力を入れており、社員満足度(ES)と顧客満足度(CS)の両輪がバランスよく回っている。マーケティングは「コミュニケーション」であり、「売れるしくみをつくること」なんだな。
「人」「しくみ」「土地と建物の活用」の3つが揃えばうまくいく。と浅田氏。
浅田氏は自ら「ブライダルディベロッパー」を自称する。ウェディングというコンテンツで企業再生をしているのだ。ウェディング市場はまだまだ”宝の山”なので、よりスタイリッシュな式を演出して行きたいと熱く語っていた。
最後に、今後の展開は?
「起業家を育てて、関連ビジネスへどんどん参入&進出させ、経営の楽しさを学んでもらいたい」とのこと。「ベンチャーマインドはウェルカム。それが、意識の活性、モチベーションにつながる」と心は限りなく広い。
「こんな気概のある社長の会社になら入ってみたい!」と真剣に思った。