±0であること

ジャイアンツがCSを制し、セリーグの覇者となった。いよいよ来週より、宿敵西武との日本シリーズ決戦がスタートする。

西武渡辺監督と巨人原監督というと、1980年代の日本シリーズを思い出す。

今シーズンの成績を振り返って、すべてのスペックにおいて巨人を上回る西武に巨人は勝ち目はあるのか?

リーグ戦と短期決戦では戦い方が違うし、巨人には勢いや運があるとも思うが、ノーガードで打ち合ったら確実に巨人は負けるだろう。

原監督の戦術が気になるところであるが、真っ向勝負ではなく、堅実さと技で勝って欲しい。

気負わず、肩の力を抜いて(無駄を省き)、博打もしないで、堅実に行くことが勝利への近道だと思う。

そう、まずはニュートラル(±0)な気持ちで。

±0とは、プラスでもなく、マイナスでもないこと。必要十分なこと。

これは、±0(プラマイゼロ株式会社)という会社のInformationの冒頭文からの引用である。

±0の主な事業内容は、『家電・雑貨の企画、製造、販売直営店(±0青山本店)の運営』とのこと。

まず、”±0(プラマイゼロ株式会社)”というネーミングに惹かれた。

惹かれた理由は、私の基本スタンスが『マイナス(−)をプラス(+)に転換する』ことだから、かもしれない。

正負の関係にはどうしても興味を惹かれるが、±0という発想は新鮮だ。

『何も足さない、何も引かない』

サントリーウイスキー山崎のCMではないが、余分なものは一切ない状態。

人が満足する、というか琴線に触れる瞬間というものは、そういうものなのかもしれない。

サービスは、不足していても、過剰であっても、不満なのだ。

±0の基本スタンスは、原点(0)に立ち戻って考えること。

原点とは、本当に欲しかったものとは何か?を見つめなおす基点・起点なのだ。

我々消費者の身の回りには、モノが溢れ過ぎていたり、機能を追及しすぎてゴテゴテになってしまったり、上っ面のデザインに誤魔化されたりして、本当に欲しいものにたどり着けないことも少なくない。

±0では、そんな時には『いったんすべてを±0にリセットし、みんながほんとうに欲しかったモノを見つけだし、デザインという知恵を使って、ひとつひとつカタチにしていく』とのこと。

±0がしたいことは、「モノが本来あるべき必然の姿」を見つけ出し、ほんとうに必要な機能だけをその中におさめること。それが、±0がめざす「ありそうでなかったモノ」づくりです。

これを編集学校的に言わせてもらうと、「モノが本来あるべき必然の姿」とは、そのモノの源流、つまり「アーキタイプ」を見出して、それをシンプルに定義(「プロトタイプ」)し、そして、洗練された商品(「ステレオタイプ」)を企画・開発していくという手法である。

当たり前のようで、これが意外に難しいのだ。

しかし、なぜ本流・源流に立ち返ることで「ありそうでなかったモノ」がつくれるのか?
なぜ今まで誰もそれに手を付けなかったのか?

要は、”今まで楽をしてきた”ということかもしれない。
きっと「手間がかかりすぎるから誰もつくろうとしなかった」というところだろう。

これからは、手間が掛かってもこれをやっていかないとモノやコトは売れない。

大量生産の時代ではなく、個々のライフスタイルに応じていく時代なのだから。

最近「マーケティングはコミュニケーション」とか、「マーケティングは愛」と言われる所以かもしれない。

私も『マイナス(−)をプラス(+)に転換する』だけでなく、『±0に立ち返る』視点を入れていけば、視野や発想も広がるかな。

「肩の力を抜くこと」、「心をニュートラルにすること」が今後の鍵となりそうだ。