今日の4冊〜起業への心技体

今日の帰りに4冊の本を買った。

最近、買ったままうず高く積み上げられている状態の本が多い。

いわゆる「積読」だが、良書を見抜く目は養われてきているように思う。

良書とは、言うまでもなく、自分にとっての良書であり、Amazonなどの一般的な書評レビューやレコメンデーションとは異なる。

時には悪書を買っているかもしれないが、自分にとってインスパイアされるものや具体的な指標となり得るものであれば、十分に良書なのだ。

さて、本日購入したのは以下の4冊である。

1)4時間半熟睡法 (単行本(ソフトカバー))
遠藤 拓郎 (著)

2)凡人起業―「カリスマ経営者」は見習うな! (新潮新書) (新書)
多田 正幸 (著)

3)リッツ・カールトン元支配人が学んだ一流のホスピタリティ心得―マニュアルではなく体験で身につける大事なこと (単行本)
林田 正光 (著)

4)プログラマーのジレンマ 夢と現実の狭間 (単行本)
スコット・ローゼンバーグ (著), 伊豆原 弓 (翻訳)


1)は、最近、睡眠時間が極端に少なく平均4−5時間であることと、毎朝起き上がるのがつらいため、藁をもすがる思いで手にした本である。

「4時間半熟睡法」は欧米の論文、過去の実験データなどをもとに著者の遠藤氏が考え出した「短眠熟睡法」である。

著者の遠藤氏は「睡眠の専門医」として「この方法が睡眠時間を削れるギリギリのラインだ」と語っている。

睡眠時間は、やみくもに削ってはいけません。
なぜなら、あなたのパフォーマンスが落ちる可能性があるからです。

■「脳力」を最大限に高めたい人
■「脳」や「体」を完全にリセットさせたい人
■つねに最高のパフォーマンスを発揮したい人
■短い時間で深く眠りたい人
■「何となく睡眠の質が悪い…」と感じている人(「不眠症」など)

「4時間半熟睡法」は、こうした人たちに最適です。

「仕事」「勉強」「試験」などで結果を出したい人(特にビジネスパーソン)は
ぜひ、実践してみてください!

と書かれている。

これは、まさに自分のために用意された本ではないか。

起業に向けて、起動に載るまでは、睡眠時間を削るしかなくなることは目に見えているので、いかに短時間で効率よく眠るかが勝負となる。


2)は、天才ではなく凡人である自分が起業を目指す上でストライクゾーンのタイトルであった。

出版社のサイトにはこんな紹介文が掲載されていた。

あんな常識外れの父でも社長ができるなら、常識人の自分ならもっとうまくやれるはずだ──。貿易商の家に生まれ、自分で事業を興すことを夢見ていた著者は、起業を失敗した果てにようやく気付く。父が成功したのは「変人なのに」ではなく「変人だから」だったのだ、と。大企業のサラリーマン、中小企業の経営者、中小企業のサラリーマンを経て税理士になった著者が、実体験に基づいて記す「凡人のための起業入門」。

このパラグラフだけでも十分読みたくなってしまう。

この本には、著者の実体験を踏まえた「起業の心構え」や「リスク管理」、「儲かるための具体的な方法」などが書かれている。

特に、以下の言葉が私の心に強く刺さった。

『安定した職を捨てて、あえて不安定な状況に身をおくことを、時に人は”男らしい”と表現する。しかし、私はそう思いません。十分なリスク管理なしに自分の”道楽”のために家族を危険にさらすよりつらくても家族のために安定した収入を得続ける人のほうが”男らしい”と思います。”道楽”であれば、”道楽”なりにしっかり責任をもってやらなければならないと思います。』

そうか、私にとって起業とは「夢」であり「道楽」なんだなと痛感した。

そして、十分なリスク管理

まずは、食費や光熱費、学費などの実際の支出額を大まかにでも把握する必要がありそうだ。

著者の泥臭いが嘘のない生の成功体験・失敗体験は、起業を目指す私にとって有り難い存在となりそうだ。


3)は、50歳まで会社一筋人間でがむしゃらに働いてきたサービスマンに突然襲いかかった病魔と入院生活。

病床で学んだことは、「体調管理の重要性」と「本当の意味での感謝の気持ち・思いやりの心」だった。

それまでは、鼻っ柱の強さと高いプライドから、横柄な態度がサービスに見え隠れしていた。

しかし、病床に倒れてから、家族や見舞客などからの励ましや、リハビリの辛さなどを体験して、自分を見つめ直す機会を得た。

50歳にしてどん底からどのように這い上がったのか?リッツで学んだ本質的なサービスとはどのようなものだったのか?

「鼻っ柱の強さと高いプライド」と「体調管理を無視した仕事っぷり」は、私にも身に覚えがあるので、大変参考なりそうだ。


4)は、現在次期システム開発の真っただ中にある自分とオーバーラップするということと、この業界ではいまだデスマーチが繰り返されているのかという憤りというか溜息がこの本に向かわせた。

紹介文には以下のように書かれていた。

シリコンバレーを舞台に、天才プログラマーのドリームチームが挑んだオープンソース開発プロジェクト「チャンドラー」立ち塞がる難題、時間の壁、去り行く同志―混迷する3年間に密着した長編ノンフィクション。

ソフトウエア開発はなぜ遅れるのか。
同じ過ちを繰り返しながら、なぜ今度だけは違う、自分だけは違うと信じてしまうのか。
ソフトウエアとはそれほど難しいものなのか。
その謎を解こうと、著者は、歴史をひもとき、混迷する3年間をつぶさに追っていく。
米国で多くのプログラマーの共感をよんだ話題の長編ノンフィクション!

なるほど、私も今まで20以上のシステムを開発してきた経験があるが、成功したものは1つもない。というより、結果は別として、プロセスを見ると、後の工程に行くほど、スケジュール通り進んだものはほとんどない。

つまり、調査や基本設計といった上流工程において、いかに詰めが甘いか、先が見えてないか、やるべきことをやっていないか、がわかる。

そして、そのつけは下流工程に必ずやってくる。

どこかで必ず、想定外の事故や事件が起きる。

そして、みんな自分を正当化し、他人のせいにする。

もちろん「人」の質の問題も多いが、大半は技術力不足の問題ではなく、コミュニケーション不足の問題が大きい。

一人ひとりは優秀な能力を持っているが、それが1つのシステムにつながって行かないケースが多い。

組織の文化を理解し、業務プロセスを理解し、利用者の心を読み解き、既存技術と新しい技術をマッシュアップし、運用も含め最適なサービスを提案できる人。

そういう人がいる会社を作りたいだけどなぁ。

全員が、優秀な営業マンやSEやプログラマーである必要はない。

コミュニケーション能力の高い人材の採用、およびそれを継続的に作り出すしくみを構築したい。

志やビジョンが共有できて、自由闊達に議論できる社風、縦割りではなく縦横斜めのフラットな組織。

そんな場づくりができれば、「早い・安い・うまい」会社、顧客に本当に必要とされる会社が作れるのではないかと信じている。


これらの4冊は、起業に必要となる心・技・体といった基礎体力を養ってくれそうな本である。

まだ読み始めたばかりだが、ぜひとも深掘りしてみたい。