帝王トム・ワトソンのターンベリー・マジック

還暦を目前にしたトム・ワトソン(59)が最高のパフォーマンスを魅せてくれた。

今年の全英オープンの主役は、王者「タイガーウッズ」でもなく、初出場の17歳「石川遼」でもなく、メジャー大会8勝(全英5勝)の帝王トム・ワトソンだった。

初日から堅実で安定したゴルフを展開し、上位をキープし、最終日はトップのまま最終組でスタートした。

メジャー今季第3戦、第138回 全英オープンの舞台はスコットランドのターンベリー(エイルサ・チャンピオンシップC)。そこはワトソンにとって32年前(1977年)ジャック・ニクラウス(米)との死闘を制し、“新帝王”の称号を手にした思い出の場所。6年前、全英シニアオープンのチャンピオンに輝いたのもここターンベリーだった。「ターンベリーのマジックがあと18ホール続くと良いね」と言い残し、単独トップでスタートした現地時間19日の最終ラウンド。
(Yahoo!ニュースより引用)

私は、TVに釘付けとなり、ハラハラしながらワトソンを応援した。

これはシニアツアーではく、メジャー大会なんだと何度も自分に言い聞かせた。

それを、59歳のワトソンが引っ張っているとは夢のようだった。

若手ゴルファーが次々と崩れる中、ワトソンは冷静なゴルフを続けた。

そして、3アンダーの単独首位で最終18ホール(PAR4)を迎えたワトソンの2打目がグリーン奥のエッジで止まった。

サンドウェッジでロブショットかパターで転がすか?

いずれにせよ、PARセーブは堅いと思われた。

しかし、運命の神様は、帝王にさえも試練を与えたもうた。

ワトソンはパターを選択した(これは守りに入ってしまったといえるのだろうか?)。

強い打球は、グリーンをはるかにオーバーしてしまった。

「サンドで浮かせていたら・・・」と悔やまれたが、勝負にタラレバは禁句。

結局返しのパットはうち切れずに、ボギーとなり、先に2アンダーでホールアウトしていた、中堅のスチュワート・シンク(米)とのプレーオフとなった。

「これはワトソン不利だな」と嫌な予感が走った。

プレーオフは、4ホールでのマッチプレーとなったが、ワトソンはミスショットが続いた。

というより、先の72ホールで燃え尽きてしまったようだった。

59歳の体力の限界を超えていたいた。

最後の18番ホールは見ているのがつらかったが、それでもワトソンは表情を変えずに最後まで淡々とプレーを続けた。

72ホール目で”ターンベリーの魔法”は解け、スチュワート・シンクとのプレーオフの末、59歳10か月でのメジャーチャンピオン誕生はならなかった。

残念だったが、人類史上最年長のチャンピオンを目指したトム・ワトソン(米)の夢はプレーオフで遂に敗れた。

それでも、ギャラリーはスタンディング・オベーションで温かい拍手でワトソンを迎えた。

私も目頭が熱くなった。

体力では圧倒的に不利だったが、最後まで基本戦略は変えなかった。

フェアウェイ・ウッドを駆使し、大胆に攻めながらも、刻むところは徹底的に刻んで、リスクを回避した。

そして、強靭な精神力は、若手や中堅選手も見習うべき点が多かったのではないだろうか。

体力的には厳しいとは思うが、来年もぜひチャレンジしてもらいたい。

不動の帝王トム・ワトソンを始め、ターンベリーから感動をありがとう。