暴力の連鎖

早いもので子供たちも1歳と8ヵ月を迎えようとしている。いわゆる「わんぱく盛り」に突入した。好き・嫌いをはっきりと表すようになった。親の言い付けにも拒絶反応を示すようになり、親も次第に苛立つ場面が増えてきた。
言うことをなかなか聞いてくれずに泣きわめく子供を見ていると、次第に手を出したくなる衝動に駆られることがある。「言って聞かなければ、叩くしかない」。自分が親から受けてきた教育を思い出す。
このことを職場の仲良しの同僚(先輩)に相談したところ、「絶対手を上げてはダメ。体罰は許せない。暴力の連鎖は断ち切るべき。」と厳しく指摘されてしまった。私は今までこんなにも暴力を否定されたことはなかった。もちろん自分から好き好んで暴力を振るうことはないが、悪いことをしたら叩くとか暴力を受けたら暴力で返す、のは当然の義務であり権利だと思い込んでいた。だからこそ、ハッとした。
自分が子供に暴力を振るえばそれが当たり前になりどんどんエスカレートしていく。そして、やがて子供たちがそれを受け継いで行く。暴力を振るう人の周りには、暴力的な人が集まる。今これを断ち切らないととんでもないことになる。
その瞬間から、どんなに腹が立っても絶対手を出さないで、粘り強く話して聞かせようと誓った。
職場の同僚は最後に「暴力を完全否定しても生きて行けるから」ときっぱりと言い切った。私にはその笑顔が優しくも強い意志を持ったステキな女神に見えた。
これからまた長い試練が始まるが、彼女のおかげで何とかやって行けそうな気がする。