技術性能から感覚性能へのパラダイムシフト

前回のブログについて一部フォローします。

「技術性能(IT/デジタル)から感覚性能(アナログ)へのパラダイムシフト」と書いたが、確かにこれだけではわかりづらいので、少しだけ解説的なことを書いてみようと思います。もし、余計わからなくなってしまったら、すみません。

「デジタル=ITを駆使したバーチャルな世界」だと仮定すると、「アナログ=人が五感で感じ取ることのできるリアルな世界」とでも表現できるだろうか。

デジタルとアナログは振り子の関係で、1990年代以降、NetscapeWindowsLinuxそしてYahoo/GoogleWeb2.0セカンドライフなど思いっ切りIT/デジタルな世界に振り子が揺れたので、その反動で、これからはリアルな世界へとシフトチェンジする可能性が高い。

ITを駆使してデジタル化したり、ポータルを作ったり、情報をロボット収集しRSSでフィードしたり、便利にしようとすればするほど、逆に窮屈になっていき、満足から遠のいて行く。そして、次第にそこから解放されるべく、自由で安心できてどこか懐かしいアナログ(リアル)の世界への要求が高まって行く、と世のマーケッターたちは予測しているようだ。

例えば、図書館のサービスについて考えてみよう。図書館は今や「建物」や「書籍」や「人(スタッフの対面サービス)」といったリアルな存在としての価値は認められているが、そこで提供される蔵書検索システムや各種オンラインサービス、ナビゲーションサービスなどは、一部のヘビーユーザー以外は、あまり印象に残っていないようだ。だからこそ、次世代の図書館サービスは、ITやウェブ技術を駆使して、より一層「利用者指向(と信じている)」のデジタルな世界を強化して行こうとしている。しかし、利用者は果たしてそれを望んでいるのだろうか?大半の利用者は、「場としての図書館」に期待を寄せているのではないか。つまり、「マンガやファッション雑誌の置いてある図書館」、「カフェのある図書館」、「高級なチェアに座ってくつろぎながら本が読める空間」、「癒される図書館」、「想像力をかき立てられる図書館」、「人が集まる活発な図書館」、「かっこいい図書館」など、より原始的で、よりアナログなモノやコトが求められているように感じる。

ということで、ITを飯の種に仕事をしている私が言うのもなんですが、次は「アナログ」かな、と。

さて、今日のYahoo!ニュースで気になったものがあったので、最後に少し触れたいと思います。

新入社員の最終目標、社長は12%で過去最低

産業能率大が新入社員の意識調査を行ったところ、「最終的に目標とする役職・地位は社長よりも部長か役員、と答える人が多かった」とのこと。

確かに、大企業の社長になれる確率は何万分の一かもしれないが、「不祥事や事件を受けて頭を下げるトップの姿が目立つことが背景にあるのでは」との分析結果が示すように、頑張って社長になっても、何か事件が起きたらマスコミなどにたたかれて世間に晒された挙句、最後に責任を取らされて辞任や逮捕そして自殺に追い込まれる。それよりは、バックエンドの最高位の立場でいい思いをしたいということなのだろうか?少し考えが甘いような部分もあるが、それが現実なんだろうな。

最近、起業家を目指す大学生が少なくなったというのは聞いていたが、これも同じ理由なのかも知れない。

そんな若者に人気のない世界に、この歳で果敢に挑もうとしている自分は一体何なのだろう。それでも、私は明日を夢見て、今日も元気に精一杯生きています。


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