共生型組織モデルへの道

システム屋さんは、とかく職人タイプが多い。

一般的に、職人は、あまり多くを語らず、黙々と自分の技術やノウハウを駆使して、モノ作りをする。
そして、プライドが高く、自分の腕が一番だと信じている。もちろん、周りからも信頼があって、特に技術力をほめらると弱い。

しかし、ドキュメントを作ったり、プレゼンしたり、「ほう(報告)・れん(連絡)・そう(相談)」が苦手だ。

システム開発においては、ドキュメンテーション能力とプレゼンテーション能力(いわば、コミュニケーション能力が)が命だ。モノを作って終わりではない。システム操作マニュアルの作成や現場への教育が必要だ。それ以前に、要求仕様から提案書を起こして、ユーザーと仕様を詰める必要がある。そして、設計書を作成して、メーカーなどにわかりやすく説明する必要がある。担当するシステムについて、いつ何を聞かれてもいいように、準備しておかなくてはならない。

でも、それを全て面倒がって、すぐに自分でモノ作りに入ってしまう。
「人に説明してもなかなかわかってもらえず、しまいには文句まで言われる」よりは自分でやってしまった方が楽だと勘違いしてしまう。数人で共有して1つのモノを作り上げるのを嫌がり、「揺りかごから墓場まで」を自分一人でやりたがる。”他人とぶつかったり否定されたりして思い通りに進まない”という理由の他に、”自分の手柄を他人に奪われたくない”という理由もあるようだ。

マシンに向かって、ロジックを考え(時に閃きや気づきがあって)、トライ&エラーを繰り返す。それを”カッコいい”とさえ思っている。要は、人と接するよりも、物と対峙しているほうが楽だと感じているのだろう。私は、これを「Web1.0システム開発」と考える。つまり、他と交わることなく、技術偏重で、自己満足することを第一義とする「スタンドアロン型」だ。

それに対し、これから求められるシステム屋は、いかに「積極的に他と交わって、知恵を出し合って、コラボレートし、時にはコンフリクトしながら、いいモノを作っていけるか」だと思う。つまり、「Web2.0システム開発(=共生型)」だ。

私の部署には、とにかく優秀な人材が多い。知識のある人、英語のできる人、計算能力の高い人、難しい漢字の書ける人、やたらキー操作の早い人などなど。地頭(じあたま)がいい人が多いのだ。しかし、ぶつかり合って消耗する確率も高く、組織力と言う点では今一つである。情報伝達力、情報共有力がなぜ低いのか?これは、かなり根の深い問題に起因する。つまり、頭が良すぎて、余計なことまで気を回しすぎて、疲れてしまうのだ。そして、人のプロトコルが多くて、調整に時間と労力を要し、消耗してしまう。つまり、「共死モデル」といっても過言ではない。だから、みんな自分の能力を高めることだけに集中してしまう。

私は、この組織を変えていきたい、と本気で思っている。
ただし、自分一人が気を吐くモデルではなく、自ら組織横断的に動いたり、外からいろいろな風を吹き込むことで、見本を見せることによって、共感を勝ち得て、同様に動く人が1人でも2人でも出てくることが目標である。

そろそろ、プラン作りに入ろうかと思う。その意味でも、この夏休みの宿題は多い。