MakeIT21 on 2007.8.25

今日のゲストは、タレントの島田洋七さんだった。中学時代からTVでお馴染みの方だけに、構えずにいつもより気楽に聴けた気がする。

洋七さんと言えば、いまや「かばいばあちゃん」の方が有名で、「もみじまんじゅう」とか「B&B」など知らない人も多いのではないだろうか。そもそも、1980年代の漫才ブームすら知らない人もいたりして。

佐賀のかばいばあちゃんは、ともかく明るい人だったらしい。生活は貧乏だったが、その明るさで貧乏をあまり感じることなく、8年間一緒に暮らすことができたとのこと。

貧乏暮らしぶりは、以下のエピソードからもわかる。

洋七少年が中学時代に部活を選ぶために、おばあちゃんに相談した時に、

  • まず、剣道をやりたいと言ったら、

「防具や竹刀を買わなきゃいけないからダメ」と言われ断念。

  • 次に、柔道やりたいと言ったら、

「道着を買わなきゃいけないからダメ」と言われ断念。

  • それじゃ、走ると言ったら、

「お腹減るし靴底が減るからダメ」と言われる始末。

しかし、貧乏を貧乏と捉えずに、「人生はなりふり構わず工夫しろ。金持ちは飽きる。貧乏人は毎日工夫して生きているから楽しいんだ。」と至って前向きだった。

さらに、洋七少年は、英語・国語・歴史の成績が悪かったのだが、そのときのおばあちゃんの返しも実に面白い。

  • 英語ができないときは、答案用紙の裏に「私は日本人です」と書け。
  • 漢字が書けないときは、「ひらがなとカタカナだけで生きています」と書け。
  • 歴史もできないときは、「過去には拘りません」と書け。

なんと柔軟な思考力!!とても、昔の人には思えないほどユーモアがある。いや逆かな。現代人の方が余程枠に捉われて、つまらなくなっているような気がする。

洋七さんがおばあちゃんに教えてもらった中で一番好きな言葉は、
「死ぬまで夢を追いかけろ。かなわなくても所詮夢や。また次の夢を追えばいい。落胆するのが一番悪い。」
だそうだ。

学校には学校の教科書がある。社会にはもっと分厚い教科書がある。それが「人」だとわかった。だから、時間の許す限り多くの人の話に耳を傾けるし、タレント仲間だけではなく、八百屋のおじさんなど一般人にも声を掛けて、話を聞く事も多い、とのこと。

そんな、”かばい(すごい)”おばあちゃんに育てられた洋七さんは、おばあちゃんの言葉を現在人に伝承すべく、本を書いたり、多数の講演会を行ったりしているのは、おばあちゃんの教えが、時間や空間を超える普遍的なものだからだろう。その証拠に、本は500万部売れる訳だし、講演会での評判も物凄くいい。

洋七さんから、悩めるビジネスマンへの提言は、以下の3つだったかな。

  • 人生は暇つぶし、暇つぶしには仕事がいい(お金儲けにもなる)。例えば、セールスマンなら、セールスマンごっこをやっていると思え。
  • 何をやったらよいかわからない場合は、家に閉じこもらず、外に出て、バイトなどをしながら、やりたいことを見つけること。まずは、食べることから充足させること。小さいコトでもコツコツやっていくことが大事(イチローも同じことを言っていた)。
  • 話すときに相手が自分のことを好きだと思えばいい。万人に好かれる人なんていない。嫌われることを恐れない。但し「なんとなく嫌い」はダメ。確かめるには、実際会って飲みに行けばいい。そうすればよくわかる。

しかし、私が一番心に響いた(というか耳の痛い)フレーズは、コミュニケーションがうまく行かないことに対するアドバイスのくだりだった。

「子育ての本なんてナンセンス。わからなければ、自分の親やおばあちゃんに聞け!。そして、仕事のことは先輩、特に”団塊の世代”に聞け!彼らは戦後の日本を復興させたのだからノウハウをたくさん持っている。」

日頃、私は人に聞くことが恥ずかしいというか、「わからないので教えてほしい」と頭を下げるのがイヤで聞かないことが多い。借りを作りたくないのだ。だから、本やネットに頼る傾向が強い。つまり、自らリアルなコミュニケーションを放棄している部分がある。つまらないプライドは捨てて、自分をさらけ出して、お互いに補完し合う。これが、日常生活においても、ビジネス生活においても、本来のあり方ではないか。所詮は人生貸し借り(ギブ&テイク)なのだ。

そういえば、育児面でも親に聞くことも少ないなぁ。

これからは、プライドの敷居をちょっとだけ低くして、自分の弱みを見せながら、相手と積極的にコミュニケーションを取っていきたいと思った。そのためには「何度でも繰り返しゆっくり丁寧に話すこと」から実践していきたい。実はもう実践を始めているところだ。緊張を取るためにも、いい方法だと思っている。

『がばいばあちゃんの勇気がわく50の言葉』の中でショーンさんが一番気に入った言葉「ゼイタクすることが幸せじゃない。小さな幸せを大きく感じることが本当の幸せかも。」を聞いて、相田みつおさんの「幸せは自分の心が決めるもの(周りが決めつけるものではない)」を思い出した。

最後に、自分にもこんな「かばいばあちゃん」ほしかったなぁ(私が物心ついた時には、おばあちゃんがいなかったので...)。