「今」と「場」〜開発者2.0の視点から

今したいと思うことは今やろう。この年になると、特にそう思う。
「後でやろう」なんて思っていると、次のチャンスが来るまでにどのぐらいかかるかわからないし、二度とチャンスが巡ってこないかもしれない、という不安に襲われることがある。

そう考えると「今(リアルタイム)」という視点はとても大切だ。

もちろん、自分の「今」も大切だが、同時にユーザーの「今」も大切にしたい。ユーザーが今欲しいと思っている情報を今すぐ提供してあげたい。そして、自分が学習したり研究したりするための「知的作業空間」や自由にアイデアを出して語り合えるフラットな「場(コミュニティ)」を提供したい。「場」はバーチャルでもリアルでも構わない。できれば、両方提供できれば言うことなしだ。バーチャルな場は、「2チャンネル」のような”何でもあり”の場ではなく、一定のルールに基づいた”互いにリスペクトし成長し合える”場(いわば「共生の場」)である。原則として、他人のアイデアには一切否定や批判をしない。その代わり「こうすればもっと良くなる」「私ならこうする」「一緒にやってみましょう」といった前向きな提案を加えることにより、その人をさらに成長させる場である。

それを、IT(特にウェブやフィード)を駆使して実現したい。気軽に利用できて、バーチャルからリアルな学習生活へ還元(社会貢献)できるサービスがいい。その実現要素として、携帯(デバイス)や図書館(ナレッジ)をうまく活用できないかとも考えている。

今知りたいことを今提供するには、技術的には相当のしかけが必要だ。「今」という時間軸をどの程度で設定するかにもよるが、窓口で質問内容を受けて、解析して、一次回答を用意する。これを数分で処理しないといけない。Q&A事例集を事前に設けておいて、その中から探してもらうというやり方では到底対応できない。最低でも、いくつかの質問(問診)に答えてもらって、ナレッジベースで推論して、自動的に一次回答を出す必要がある。詳細な回答が必要な場合は、翌日まで待ってもらうことにはなるが。

最近問題になっているWiKiペディアのような「群衆の叡智」というやり方もあるし、mixi(SNS)でいいじゃんという意見もあるだろう。それどころか、Googleだけで十分という人もいるだろう。確かに、情報を早く知るにはそれらの方が手っ取り早いかもしれない。しかし、私が提供したいのは、もっと正確な情報ソースの提供と、成長できるコミュニティの提供なのである。それを、いかに迅速に処理できるかは、バックヤードのシステムに懸かっている。

そこにフォーカスして、システムモデルを設計していく予定である。但し、私はこれらの実現はITに拘らないことが重要な鍵だと思っている。人や運用を変えるだけでも、実現可能かも知れないからだ。

2007年9月15日発売予定の「エンジニアマインド Vol.6(技術評論社)」の告知を見ると、

特集1「ITという非合理との戦い(開発者2.0)」
開発会社に来る依頼にはさまざまあると思いますが,それらすべてのニーズをIT化で満たすことはできるのでしょうか? IT化は効率化をもたらし利益を高める万能ツールと思われる時代が長く続きましたが,最近では行きすぎたIT化が業務を画一化させてしまい,ルールの柔軟な運用を妨げてしまうケースもあると聞きます。本特集ではIT化一辺倒ではない新しいエンジニアのスタイル「開発者2.0」をストーリー形式で提案します。

とある。

今やシステム開発者に求められるのは、単に要求通りシステムを開発することでは足りない。システム化するまでもない部分や、逆にシステム化してしまうと混乱を招く恐れがある部分については、運用手順の組み替えなどを提案する必要もある。以前も述べたが「システムありき」では失敗するだろう。

さあ、明日から具体的な要件の洗い出しに入ろう。11月ぐらいには職場で何かしら提案書を出せるようにしたい。昨日のMakeIt21のではないが、前に進むためには考えてばかりではなかなか進まないなので、「動きながら考える」作戦に切り替えて、計画をドライブさせたい。