WBS2.0 Vol.19 on 2007.9.20

今日のWBS2.0はRSSベンチャー3人、揃い踏みだった。

メインゲストのレッドクルーズの増田社長に加え、シークレットゲストとして、RSS広告社の田中社長、そしてホスト役の小川浩氏だ。RSS(フィード)に魅せられた男たちが集結して、RSSの可能性や実装状況などを報告した。

まずは、9月5日にプレスリリースされた、小川氏のmodiphiとRSS広告社のRSSフィード効果測定サービス「Feed Metrix」の連携の話だった。

Feed Metrixをmodiphiに統合することで、modiphi上で作成・発行したRSSフィードの購読者数やアクティブユーザー数を測定し、その推移をグラフ表示することができる。また、各記事の配信実績を測定し、クリック率の高い記事をランキング形式で表示することも可能。そのほか、異なるRSSフィードを両方登録しているユーザーの割合を測定することもできるため、異なるコンテンツ間の親和性を示す指標として利用できる。

modiphiにとって、この連携はサービスの深みを存分に増すことだろう。フロントエンドのmodiphi、バックエンドのFeed Metrix。裏側で、膨大なフィードを収集→整理→分析することで、雑多でとっつきにくいフィードを、わかりやすくしてくれる。一目で人気のあるフィードがわかるようになるし、無駄なフィードを読まなくて済むようになる。より迅速により正確に洗練された情報収集が可能となる訳だ。

世の中にRSSリーダーの数がどれだけあるか?という田中氏の質問にまったく想定がつかなかった。ブラウザベースで100-200種類(ユーザーエージェントベース)。全部で1,111種類ぐらい(ユーザーエージェントベース)とのこと。種類が多い理由の1つが「比較的簡単に作れるから」というのには驚いた。

しかし、管理する側の立場からみると、RSSリーダーは多種多様で同じ基準で一律にカウントすることは難しいようだ。1つ1つ挙動が違うのは厄介だ。クロール頻度だけを見ても、1時間に1回来るもの、1日に1回来るもの、1日1回でキャッシュしたフィードをシェアしているもの、などに分けられる。

1つ1つ対応するのは大変なので、基本的にはユーザーエージェントのsubscribersを足し算している。しかし、40%のRSSリーダーはsubscribersを教えてはくれない(隠している)。これを無視してしまうと正確な数字は出ない。そこで、どうするか?”何人読んだか”については、ユーザーエージェントとIPをセットで保持して「1購読者」とカウントしている。また、アクティブユーザー数は、ウェブビーコン(*)をフィードと一緒に配信し、読み込んだら1ユーザーとカウントする。これをバッチプログラムで対応しているとのこと。

(*)ウェブビーコンとは、目には見えない小さな画像をWebページやHTML形式の電子メールに埋め込むことで閲覧したという情報を収集するための仕組みのこと

次に、小川氏よりModophi本体の10月中旬公開予定のVer2.2へのバージョンアップ計画が報告された。背景色を黒とシャンパンゴールドに戻す。サイドバーをプレイリストにする。基本の未分類を「重要なものが隠れてしまう」との理由からフォルダ機能を追加。シャッター画面内の機能メニューをアイコン化する。法人向けに裏機能を用意する。などなど、大幅な改訂を予定しているとのこと。modiphiユーザーとしては、”New Modiphi”に大いに楽しみにしている。小川氏の「フィードビジネスを変革する」という野望は益々強くなっていると感じた。これからも、断続的な機能向上を行っていくとの意欲が見て取れた。

メインゲストの増田社長は、小川さんのテンポとスピード感とは対照的に、ゆっくりと丁寧に話すので、非常に温和な感じに見えたが、話を聞いて見ると、内なる情熱は計り知れないものがありそうだ。元々エンジニア出身で、思い立ってスーツケース1つで初海外でアメリカに渡り、衝撃を受ける。日本に戻り、IBMで製造業のシステムを担当する。そして、またもや海外に行きたくなって、思い立って、アメリカのベンチャー専門のバブソン大学の大学院に入学。そして、レッドシェリフからレッドクルーズに至るという経歴の持ち主。何かと何かを結びつけて、新しいことを生み出すこと(転用)が得意とのこと。また、犬が大好きで、犬の散歩に一日トータルで5時間ぐらいかけるらしい。ちなみに、私は犬の散歩は朝晩合計で1時間なので、5倍は凄い。

増田社長は、次世代広告は露出(エクスポーシャ)から関与(エンゲージメント)へ。企業情報はユーザーに選ばれる時代に。そして、RSSシェアモデルをメインに考えている(ユーザー、コンテンツ、開発・運用費をシェア)。メルマガと違ってRSSは個人情報を取らないでもサービスできるのでユーザーと緩やかな関係が築ける。興味がある人だけを囲い込んで”ながら視聴”を最大化したい。などと構想を熱く語ってくれた。

フィードはまだまだ過渡期である。メディアとしてのフィードは、単なる記事配信から、今後eコマースなどオンラインコンテンツを販売する形態にシフトして行く可能性もある。そのためには、お仕着せの情報配信ではダメで、ユーザーが本当に必要としている情報を効果的にプッシュしていく必要が出てくる。これは、フィードが最も得意とするところだ。フィードの可能性を誰よりも強く確信し、実装しながらその良さを肌で感じてる3名はとても自信に満ち溢れていた。

RSSフィードはプッシュでクールなコミュニケーション基盤となり得ることは間違いない。これで、私も11月に開催される社内の研究発表会で自信を持ってフィードの可能性を語ることができそうだ。