MakeIT21 on 2007.10.27

今日のゲストは、メディアマーケティング・ディレクターの笠松良彦氏。
テーマは「効率よくモノを売るための広告戦略とは?」。
笠松氏は、クロスメディア・プロモーション(複数のメディアをうまく融合しながら広告を打っていく)を得意としており、フリーマガジン「R25」も手掛けている。そうえいば、私も毎週木曜日朝にコンビニでもらって読んでるなぁ。

とにかく、一般のビジネスマンが朝起きて夜寝るまでに目や耳に触れる広告は3000〜5000と言われている。
広告市場は全体で約6兆円とのこと。まさに巨大ビジネスだ。

今や広告業界は、インターネットにせよ、リアルにせよ、マス広告(不特定多数の人々に流しっ放し)から、ある特定層にフォーカスするようになってきた。つまり、ユーザーがどんな生活しているか、どこを歩いているか、を把握することに注力しているのだ。

マスで広告を打ってもモノは売れない。ではどうしたらよいか?そこで、企業は、モノを売るために、「サービスを良くする」、「ユーザーとのコミュニケーションを円滑にする」、「プロセスをきちんと伝える」等の工夫をすることに目を向けるようになったのだ。

インターネット広告においても、バナー広告から、検索連動型広告・コンテンツ連動型広告・連想検索などへ、シフトチェンジしていることからも、それが明らかだ。今や、バナーは「ウザイ」存在になりつつある。「ウザイ」ものは見られないし、排除されてしまうことになる。

ようやくみんなが「コミュニティファースト、ペイドレイト」の姿勢の重要性に気づき始めたといっても過言ではない。人が集まるから、そこに良いモノが生まれ、広まっていく、そしてその結果として収益に結びつく。コミュニティができていくためには、「面白いコンテンツであること」、「便利であること」が必須要件だ。

笠松氏曰く、企業が成功するための基本姿勢には「愛の告白」が必要とのこと。つまり、「あなたのことが好きです、だから好きになってください」という姿勢。「知る」→「理解」→「共感」→「好きになってもらう」という流れが大切とのこと。そのためには、「相手のことをどれだけ深く知ろうとするか(という姿勢)が大事のようだ。

売れたとしても、なぜ売れたかわからないのでは不味い。成功したものには「偶然うまくいったもの」と「戦略的にうまくいったもの」がある。前者では、一発屋で終わってしまう可能性が高い。成功を継続させるためには、事前の調査と売れた要因(結果)をきちんと分析する必要がある。

マーケティング調査においても、従来の無作為のアンケート調査(マス調査)から、フォーカスグループインタビュー(FGI)へとシフトしている。簡単にいうと、ターゲットを絞って、深く調査する手法である。「そうは言っても本当はこういうのをほしいでしょ?」といった具合にユーザーの深層心理をえぐって、欲求の本質を導き出すやり方だ。

クロスメディアプロモーション」では、ユーザについて良く知ることが第一だ。そして、伝えたいことをどう伝えるかを工夫すること。どのメディアとクロスするかはターゲットによって異なる、とのこと。ターゲットとなるユーザーの生活導線に沿って考えること。仮説をいっぱい立てて考えることが重要らしい。

最近の20〜30代の若いビジネスマンは、強がっているけど実は弱い人が多い。将来について、仕事について、恋愛について漠然とした不安を抱えている人が多い。そのような人へ的確なアドバイスを打っていく。R25の特集はまさにそんな人達への激励に他ならない。

最後に、これからのマーケティングのキーワードは、”ターゲットインサイト”。生活者の心の奥底に潜んでいる欲望、欲求をきちんと読み取ること。提供側にどれだけ愛情があるか、ユーザーへどれだけ愛情を注ぐことができるが鍵となる。

こんな時代だからこそ、ビジネスにも愛が必要なのだ。