OCLCセミナーに参加しました!

今日は午後からOCLCセミナーに参加してきた。主催は紀伊国屋、場所は早稲田大学の国際会議場だった。

OCLC、紀伊国屋早稲田大学という構図は、日本の大学図書館界の1つの方程式である。

OCLCと紀伊国屋の付き合いは、25年になるらしい。紀伊国屋は、OCLCの日本国内のディストリビュータ(代理店)である。

そして、紀伊国屋は早稲田の図書館に、目録などの委託業者としても参入している。これも1つの生き残り戦略だ。というより、早稲田の職員軽減政策に対する1つの「解」でもある。

そして、OCLCは世界の図書館の効率化を計るためのソリューションを提供するサービスプロバイダーでもある。「情報へのアクセシビリティ」「図書館コスト削減」「目標の共有」の3つを柱に据えている世界最大級の図書館情報サービス機関である。

これまでは、書誌ユーティリティに代表されるとおり「図書データサービスプロバイダー」といった色が強かったが、いよいよSaaS(Software as a Service)に乗り出すようだ。代表的なサービスとしては、WorldCat.orgをパーソナライズした「WorldCat.Local」などが有名である。

基調講演を行ったOCLCの代表兼CEOのJay Jordanによると、これからの戦略基本方針は「グローバル・プラットホームの確立」とのこと。

GoogleやYahoo!と早々と提携してサーチに付加価値を付けたり、最近ではMySpaceやFacebookといったSNSをベースにしてWeb利用行動の調査を行い、”どこで個人情報との衝突が起きているか?”などの把握に勤めている。既に、Facebookのアカウントともリンクしている(WorldCat:Facebook Widget)。

技術屋集団のオープンリー・インフォマチックス社を傘下に収めて、リンクリゾルバ製品「WorldCatLinkManager」を開発した。最近では、Ezproxyの開発元であるUseful Utilities社を獲得して、個人認証とデータベース・電子ジャーナルへのアクセス基盤を確立しようとしている。

また、バーチャルレファレンスシステムである「Question Point」についても、2005年にサービスを獲得してから、エンハンスを続けている。2008年3月には「Quidget」と呼ばれる、Widgetサービスをリリースするとのこと。インタフェースがよりわかりやすく、カスタマイズも楽になっているようだ。日本語版がないのが残念だが、ぜひ使ってみたいサービスだ。

いよいよ世界的なILS(統合型図書館システム)の開発に乗り出してくる気だろうか?その可能性は十分にあり得ると考える。

個別の組織では決して真似できるものではない。団結することで、スケールメリットが出せる。だからこそ、GoogleやYahoo!も提携に合意するのだ。なぜ、そこまでしてOCLCが力を入れるのか?それは、大学や機関で持っている特殊なコレクションを可視化して、ユーザにアクセスしやすくすること。そして、それを社会貢献モデルに仕立てることが最大の狙いだ。目標は世界制覇???まさに、GoogleやYahoo!の戦略そのものなのである。

さあ、どうする国内ベンダーや国内大学・機関。黒船はもうそこまで来ている。