自分を見失うな!

昨夜、久しぶりにK−1をTV観戦した。

我々の世代にとって、ピーター・アーツやジェロム・レバンナがまだ現役で活躍しているのは、とてもうれしいことだ。

また、レミー・ボンヤスキーの技も切れていた。往年のフライング・ハイを彷彿とさせる蹴り技には感激すら覚えた。

一度どん底に落ち込んで、復活を決意した男の目は、静かに鋭く輝いていた。

特に、準決勝でキックボクシングの新鋭グーカン・サキ選手に放ったフライング・ミドルは強烈だったし、重かった。一撃でサキの肋骨を粉砕した。

しかし、しかし、今回私が一番注目していたのは(怖かったのは)、バダハリだ。

不気味に笑うハリの目は笑っていなかった。

「アーツ以外は片手でも倒せる」と豪語しただけあって、どの技をとってもキレていた。

ノーモーションから繰り出す強烈なジャブ。ムエタイ出身だけあって、KOできるぐらい強烈な前蹴り。そして、パワー&スピード。

準決勝では、若きエロール・ジマーマンにダウンを奪われるも、すぐにダウンを奪い返した。

そして、レミーとの決勝戦。誰もが、ベストバウト(最高のファイト)を期待して見守った。

しかし、大きく期待は裏切られた。

前代未聞の反則劇は2回に起きた。53秒、ハリが突然暴走した。もつれて倒れたボンヤスキーに、左右のパンチを浴びせ、左足で思い切り右側頭部を踏みつけた。角田レフェリーが慌てて制止に入ったが、ボンヤスキーのダメージは深刻だった。
(NikkanSports.comより)

あれっ?この試合は総合格闘技ルールなの?K−1って「立ち技世界一」ではなかったっけ?と思わせるほど、違和感のある展開となった。

GP決勝戦ということもあり、ハリに警告を出し、5分間の休憩時間を取ったが、ボンヤスキーは物が2重に見える状態で、回復しなかった。結局、同レフェリーはレッドカードを提示して失格を宣言。
(NikkanSports.comより)

解説者サイドは「バダハリの”精神的に弱い部分”が出てしまった」と言っていたが、真相はどうなのだろう?

もともと2人は犬猿の仲だった。主力選手が欠場した03年王者のボンヤスキーを、ハリは以前から「フェイク(偽物)王者」と見下していた。昨年12月のGP準々決勝での対戦は、微妙な判定でボンヤスキーが勝った。これがさらに2人の溝を深めた。もともとハリは会見で選手に殴りかかるなど、自制が利かない面があった。この日、初回にダウンを奪われたことで、冷静さを失っていた。
(NikkanSports.comより)

要は、遺恨試合でもあったのだ。

レミーは悔し涙を流していたが、これは演技だったのか?

一方のバダハリは反省の色はまったくなさそうだった。失格となった後もレミーに対して、盛んに口撃をしかけていた。

その証拠に、以下のようなコメントを残したらしい。

「熱くなってしまった。でも(ボンヤスキーは)結果が出た瞬間に立ち上がった。ダメージはないはずだ。主演男優賞の才能があるんじゃないのか」

1ファンとしては、もっと技と技のぶつかり合いを見たかった。お互いパワー&スピード&テクニックを持ち合わせているだけに、冷静に戦ってほしかった。

遺恨ではなく、冷静な再戦を期待する。



私も、最近寝る間もなく超多忙で、職場などで熱くなることが多く、冷静さを失っている感があるので、バダハリとボンヤスキーのバウトは、自分にとっても、冷静さを取り戻すきっかけになった。

人に何かを伝えたいときは、吠えてはいけない。そっと、ささやくんだ。