NACSIS-CAT登録1億件突破記念講演会に思う
『NACSIS-CAT登録1億件突破記念講演会』に参加してきた。
1億件といえば、1億個の「目録資料の戸籍簿」に相当する。
詳しい報告は、他のブログ(「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」等)に譲るが、結論的には参加してよかったと思えた。
NACSIS-CATへの書誌・所蔵登録に関しては、年々減少の一途を辿っているため、そもそもあまり関心が高くなかった。
特に、雑誌は崩壊寸前?のようで、「雑誌タイトルの軽微な変化」の対応などにもあまり力が入っていない現状なので、今までのNACSIS-CATよりも、次期NACSIS-CATへの期待を込めて参加したのだ。
確かに、東北学院大の佐藤先生が言われるように、NACSIS登録における「二極化」が発生していて、こちらでも書誌調整の手間を省くべく、所蔵のみ登録している状態に近い。
しかし、しかし、やはり、過去の経緯を体系的に理解することは重要で、NACSIS-CATの歴史は、日本の大学図書館の歩みでもあることを改めて認識させられることとなった。
産みの苦しみや育ての苦しみがあり、大勢の人々の関わりがあって、今がある。
1件目が登録されて、1億件目がある。
目録カードがあって、MARCがある。
インターネットやウェブなどのインフラ技術の進歩が、コンテンツを加速させた。
遠山敦子さん(財団法人新国立劇場運営財団理事長)らが産み出し、雨森弘行さん(お茶の水女子大学参与)らが大きく育て上げ、石井保廣さん(別府大学文学部教授)らがCAT胎動期〜黎明期の苦労を現場目線で体験し、佐藤義則さん(東北学院大学文学部教授)らが次世代目録所在情報サービスの方向性を検討している、といった各フェーズのカリスマが語った。
だから、説得力もあって、当時の息づかいが感じられてよかった。
関わった人全ての努力の結晶としかいいようがない。
『カリスマと現場力』...これがCATプロジェクトの必須要件だった。
これは、次期CATとて同じだろう。
これからは、CAT登録件数もそれほど増えないと予測する。
1億件突破はおめでたいのだが、2億件突破は相当先になりそうだ。
数ではなく、これからは質で勝負する時代だろう。
特に、石井先生と雨森先生のお話は、なかなか熱が入っていて、楽しく拝聴させて頂いた。
この2名は、私は今までほとんど見識も面識もなかったが、こんなに熱く図書館を語れる人は少ないだろう。
一方、佐藤先生のお話は、相変わらず論理的だった。
統計数字やグラフをふんだんに使ったレジメだった。
今後のCAT運用で、目録の簡素化、書誌調整の集中化とインセンティブについて言及されたが、大いに賛成である。
また、次期CATは今後、電子資源管理システム(ERMS)との絡みも出てくるので、そことの連携を踏まえた次期CAT構想であることを信じたい。
これからのNACSIS-CATとの関わり方や付き合い方について課題はあるが、ともかくは「NACSIS-CAT登録1億件突破おめでとう!!」