己を知り、相手を知る
今日は夕方から電子ジャーナル価格問題を検討する会合が開かれた。
電子ジャーナルの理不尽な値上がり問題は、出版者との「交渉」よりも、まず「現状把握」や「要因分析」からだと痛感した。
購読価格の推移はもちろんのこと、現状どのタイトルがどれだけダウンロードされているのかといった利用統計や出版者本国の経済状況などなど、集められる情報は全部集める。
その上で、契約形態をペイ・パー・ビュー(PPV)モデルに変えた場合の損益分岐シュミレーション、コンソーシアムを離脱(一部・全部)した場合のメリット・デメリットなどを分析して、戦略を立てることが重要だ。
要は、いろいろなアイデアや視点を入れて、ロジックを固めていく。
しかし、エルゼビアやシュプリンガー、ワイリーなどの大手出版者は、それをはるかに上回る用意周到さと緻密さを持っており、こちらがどんな角度から攻めても、その牙城は崩れない。
コンソーシアム提案か個別交渉か、解決策が見出せないまま時が過ぎていく。
そうしているうちに、寡占化はますます進み、更なる値上げへと連鎖する。
つまり、うまく肩透かしを喰らっている様な状況なのだろう。
あくまで、主導権は「あっち側」なのだ。
あっち側のロジックやレトリック、そしてバックグラウンドを調べて、しっかりと分析することかな。
あっち側の黒幕は、もしかすると裏側で世界中とつながっている巨大なコミュニティかも知れない。
その巨大コミュニティが、世界覇権の野望を引っさげて、いよいよに日本に攻め入ってきた。
対抗するか共存するか???
私なら後者だ。
迎合せず戦う姿勢は大切かもしれないが、まず相手をよく知り、彼らの要望や声に耳を傾けることで、歩み寄りをするなど、何か解決策が見えてくるハズだ。
ただ漠然とどうしたらよいかを、自分の立場(利害)だけで話されても困るので、P→D→C→Aをドンドン回して、戦略1)戦略2)..と視点を変えて増やしていくべきだと思う。
しかし、今日の会合は建設的な意見多数出されて、ホッとしてる。
さあ、まずブレストだ。
バンバン意見をだしてもらって、次の会合ににつなげたい。
会合も「毎回キャッシュクリア方式」ではなく、「キャッシュ再利用型積み上げ方式」で進めたいところだ。
そして、相手との距離感を近づけておいて、交渉しやすくするなどの工夫もほしい。
交渉は、専門の交渉人(ネゴシエータ)に任せた方がよいかも知れない。
交渉は、図書館員とか事務スタッフがやるべき仕事ではなくなるかも知れない。
それだけ、難易度の高い交渉なのだから。
ちなみに、ペイ・パー・ビュー(PPV)モデルになったら、図書館は不要になる可能性も高い。
だとしても、すべての契約タイトルについてPPVの方が安くなるとはいえないだろう。
単なる仲介窓口でない図書館の存在意義を各ステークホルダーに示すいいチャンスかもしれない。