コスト意識のズレ
先日の機器リプレースで、旧PCの返却を行った結果、約600台中6台(1%)が足りなかったために、リース会社から損害賠償金を請求された。
1台あたり2-3万円である。
4年リースなので減価償却があるから、1台あたり数千円だろうとタカを括っていたら、実は会計処理上はリースでも実契約はレンタルだということが発覚したのだ。
なんということだ!!
リースという条件で、管財に見積もりを取ってもらったのに、実はレンタル契約だったなんて。
しかも、リースとほぼ同条件だった。
リース料率や再リース料も同じで、唯一違うのが、紛失の場合の損害賠償だった。
レンタルは再販が前提となっているので、元の通りに返すことが前提となる。
少しでも欠品があれば、それを賠償する義務がある。
借りた物を返せないのだから、支払はしないといけない。
リース会社に掛け合って、1割ぐらい値引きをしてもらったのだが、それでも損害賠償には変わりない。
金額自体は何とか支払いができるが、それ以上に厄介なのが、内部のやりとりだ。
つまり、紛失したことに対して、部署の管理責任が問われるのだ。
課長の名前で始末書を書いて、お詫びをするとともに、予算外支出の申請をする必要がある。
さらに悪いことに、「純紛失(自然紛失)」だけならまだよいのだが、盗難も1台あるし、実はサーバ用途で使用していたものがあり、この移行が困難だったために「失くしたことにしよう」としていたものも2台あった。
盗難は、盗難が発生した時点で届けをする必要があるし、失くしたことにするなどもっての外なのだ。
「失くしたことにする」理由は当然ながら、移行にかかる稼働をお金に換算すると3人日(10万円)程度はかかるから、紛失の賠償金額を支払った方が圧倒的に安いからである。
しかし、このコスト意識は、事務方には通用しない。
「ソレはソレ」,「コレはコレ」なのだ。
というより、「スタッフの稼働=0円」という意識なのだ。
予算削減の昨今、外部委託作業にはお金がかかるので、自前で済ましてしまうことが多いのだが、それでシステムを開発したとしても、お金をもらえるわけでもないし、褒められるわけでもない。
逆に、それで失敗したらボロクソに怒られるのである。
まったく、割の合わない商売だ。
だから、依頼を受けた作業1つ1つに作業工数「○○人月」を提示するようにしている。
本当は金額も出したいところだが、内部からの依頼作業なのでそこまでは出せない。
私は、これまで、スタッフの「納期意識」と「コスト意識」が少しでも高まるようにしてきたつもりだが、それでも自前開発については、まだまだ意識が低いのは事実だ。
レンタルにしろ、リースにしろ、開発にしろ、導入時の一時的なコストだけでなく、導入(ゆりかご)から撤去(墓場)までにかかるトータルコスト(内部コストも含む)を見据えて、取捨選択を行っていくべきだと考える。
もちろん、レンタル機器の資産管理をしっかり行うことは言うまでもないが、以下のような運用を徹底していきたい。
- 毎年1回必ずインベントリを行う
- 地区間や部署間の貸し借りは必ず双方の所属長の承認を得る
- 故障したら早めに修理を行う
- 盗難は発生した時点ですぐに管財に届出をする
- 故意の紛失がないように前もって移行を行う
まあ、それでも数台はなくなるとは思うのだが、やるべきことをしっかりやっておくのがコンプライアンスというものだろう。
面倒でもやるしかなさそうだ。