「大学図書館問題研究会・全国大会」って何?

大学図書館問題研究会・全国大会(大図研第40回全国大会)』なるものが明後日から前橋で開催されるらしい。

こんなのあるんだ〜。

全国図書館大会』は知っていたけど...

恥ずかしながら、私はある図書館関係のメーリングリストで今日初めて知った(そんなんで、本当に大学図書館に勤めていると言えるのだろうか???)。

私は、こういった全国大会的なイベントには本当に縁がない。

自慢ではないが、全国図書館大会には今まで一度も参加したことがない。

まあ、私は生粋の図書館員ではないから、そんなに興味はないのだが、今後一度ぐらいは参加したいものだ。

さておき、大図研第40回全国大会の中で、大阪大学の久保山健さんが次のような発表をされるようだ。

●発表:大阪支部・久保山健さん大阪大学
「仕様共通化の意義を考える−図書館システムのあり方は変わるのか(仮題)」

国立大の図書館では、通常、4-5年毎にシステム(ハード、ソフト)を入れ替えます。
そのたびに自館に合わせた”カスタマイズ“を予算と相談の上、実施することも多い。
業務の標準化が一つの機関から、複数館に広がる可能性はあるのか。参加者からの事例紹介も含め、目的、課題等について、議論したい。

阪大の久保山さんといえば『次世代OPAC』。農水の林さんといえば『OPAC2.0』。

いや、いまや大学図書館全体が注目している『次世代OPAC』(ちょっと前まで『OPAC2.0』とか言っていたなぁ)。

そもそも「図書館=OPAC」って発想が古いな。

私なら「次世代OPAC =『脱OPAC』OR『非OPAC』」って感じなんだけど...

つまり、図書館の枠(既成概念)をどれだけ超えられるかだと思うのです。

大事なことは、「図書館が持っている書誌・所蔵データをいかにインターネット空間に浮かせるか(つまり可視化できるか)」、「書誌データではなく、物理単位データを前面に押し出せるか」、「紙媒体と電子媒体を同じ土俵に載せられるか」、「雑誌タイトルはなく、論文タイトルを検索できるようにできるか」、そして「現物をスキャンし、全文検索できるようにできるか」、「特殊コレクションをデジタル化してオリジナリティを確保できるか」ってこと。

それは、大学図書館サービスの究極の目標である「利用者の検索負荷を解消すること」や「利用者のサーチの時間を短くして、シンクやクリエイティブな時間を確保すること」、「限りなくロングテールにリーチすること」などにつながる。

そのためには、テクノロジー的には最新のWeb技術を駆使して、使いやすい検索インタフェース、迅速なレスポンス、有用なランキング、ファセット、ファーバライズ、パーソナライズといった部品機能が必要になる(本当に必要か???)。

そのような、クールなOPACは現状見当たらない。

もちろん、システムベンダーや出版社やアグリゲータは頑張っているが、それが本当に利用者が望んでいるものかどうかはわからない。

万人に好まれるOPACなんてあるのか?そもそも利用者はOPACや図書館にどれだけ期待しているのか?

だからこそいつまでも”無難なOPAC”が横行しているではないか!

だいぶ横道に逸れてしまったので、もとい。

なので、久保山さんは当然次世代OPACについても発表されるようだが、それよりも、私は『業務の標準化と図書館システム』にフォーカスしたこの発表がとても気になる。

緊縮財政の中、大学の予算は年々削られる一方。

大学当局は、「前年度実績の5%減」などと平気で言ってくるし、「図書館は金食い虫」などと悪者扱いされる始末だからやってられない。

しかも、文科省助成金のフレームが大幅に変更され、「ITベースからICTベースへ」、「金額ベースから規模ベースへ」、「一般的な取り組みから特殊な取り組みへ」とのパラダイムシフトが行われた。

それによって、今年度以降は一体いくらもらえるのかわからない。

民主党が政権を握ったらこれも変わるのかな???

果たして「ばら撒き」をやってくれるのだろうか?

さておき、大学全体の予算が厳しい状況の中では、図書館の予算も削られる訳で、図書資料費(本や電子リソースを買う予算)や委託費(人件費)、機械器具賃借料(リース料)などを削減せざるを得なくなる。

システム経費をどうやって捻出するか?

そこで、ようやく「業務の標準化」が登場するのだ。

業務を標準化すれば、システムに載せやすくなる。

業務が標準化されていることを前提にして、図書館システムはつくられている訳だから、業務が標準化された図書館には出来合いのシステム(パッケージ)が適用できる。

そうなると、カスタマイズ費用が浮くという訳だ。

さらに言えば、業務が標準化されていれば、他館とも連携し易いし、ハード・ソフトなどのリソースを共有化できる。

そうなれば、一大学・一館あたりの負担割合が減る。

つまり、久保山さんは、「バックヤードの業務システム部分の仕様を各館で共通化して(塩漬けして)経費を浮かせることによって、利用者に軸足を向けた次世代OPAC全文検索などフロントエンド(上モノ)のサービスにフォーカスするべきだ」と言いたいのではないか。

「業務部分は力を合わせて共通化して、上モノで勝負する(差別化する)」といったスタンスが今後の大学図書館の姿とも言える。

但し、これは、特殊コレクションなどオリジナルのコンテンツを持っている比較的大きな大学に特化したことかも知れない。

あー、参加したいが、今週末は無理だな(大半週末は無理なのですが)。

業務仕様については、図書・雑誌の統合、目録の簡素化・委託化、リアルタイムの予算・支払管理、貸出規則の簡素化などいろいろなアイデアはあるのだが、残念だ。

後日、久保山さんに内容をフィードバックしてもらうことにしようっと。