茂木健一郎さんに会ってきました!!

東京大学で開催された茂木健一郎さんの講演を聞きに行ってきた。

◆第45回WIN定例会  「WIN創立10周年記念講演会」
日  時:平成21年9月9日(水)15:30〜17:00
場  所:東京大学 安田講堂
テーマ :茂木健一郎氏 「クオリア・テクニカの世界」
プログラム:
1. 15:00       開場
2. 15:30-16:00 板生清(NPO法人WIN理事長)氏 ご挨拶
3. 16:00-16:40 茂木健一郎氏 ご講演
4. 16:40-17:00 吉田たかよし氏VS.茂木健一郎氏 対談

茂木健一郎氏:ソニーコンピュータサイエンス研究所/シニアリサーチャー)
吉田たかよし氏:本郷赤門前クリニック院長/医学博士・医師)

今や、脳科学界で最もメディア(バラエティも含む)への露出度が高いと言われている茂木健一郎さん。

理研などのコア技術者の間では、「まともに研究もしていないのに、メディア受けする説明だけはうまい」などと揶揄されている茂木さんだが、表現力や分かりやすい説明も大切な技術だと思っている。

茂木さんとて、最初から一般大衆に受け入れられていた訳ではないのだ。

初期の頃の単著はさっぱり売れなかったという。

しかし、学者の視点ではなく、言葉を換え、表現を換え、読者の視点に合わせるように努力をして、ようやくベストセラーに至ったとのこと。

今日はとても楽しみだった。

15:00からだったが、さすがに出張は入れられないので、午後半休を取って参加することにした。

東大の安田講堂で開催ということで、もしかして学会の研究発表のような格調高い雰囲気と内容かと思って、心を引き締めて行ったが、とてもカジュアルなトークだった。

内容は茂木さん得意の「クオリア」の話だったが、一般人でも楽しめる内容だった。

「緊張した状態では自分の実力を発揮できない。”デフォルトネットワーク”と呼ばれる”何も考えていない肩の力が抜けた状態の時に一番活性化する脳の部位”をうまく使うこと。」

「恋愛でも、婚活でも、何とか気に入られようと力が入ってしまうとうまくいかない。”振られたら仕方ない”ぐらいの方が良い自分が出せる。」

「遊びが大切。遊びがないと、突き抜ける創造力が育たない。」

「不確実性は確実性の上にしか積み上がらない(=基礎がなければ爆発的な創造力は生まれない)」

「大学に限らず、組織やコミュニティではいつでもどこでも誰とでもカジュアルに議論ができるような場が必要だ」

「短所や苦手な部分の近くにこそ、その人の本質や良いところが隠れている。」

「東大を含め日本には優秀な人は多いが、それをキャッチアップ(マッシュアップ)する”しかけ”が欠けている」

どれも刺さる言葉だが、最も印象的だったのが、「不確実性は確実性の上にしか積み上がらない(=基礎がなければ爆発的な創造力は生まれない)」である。

どうしても、基礎となる日々の鍛錬を避けて、クリエイティブな仕事に向きがちだが、目の前のルーチンワークをしっかりとこなせない限り、創造力や起業などあり得ないという苦言とも受け取れた。

それにしても、司会役の吉田たかよし氏はメディアで良く目にする有名な方だが、相当マニアックな方だと思った。

話し方と言い、視点と言い、妙に硬くて具体的な感じで、茂木さんとは対照的だった。

吉田氏の発言で1つだけ賛同した点は「医者の間でも、自律神経の動きを追いかけることで、その人の心や体の状態およびストレス耐性などがリアルタイムに把握できるため、うつや病気を未然に防げるのではないかと言われているので、それを実践してみたい」と言われていた点だ。

この点は、私も以前からうつや自律神経失調症について関心を持っているので、ぜひ取り組んでみて頂きたい。

ところで、開始直前に入って来られた茂木さんは、なんと私が座っていた席の真ん前に座られたのだ。

これには驚いた。

それ程大きなオーラは放っておらず、カジュアルな雰囲気を醸し出していた。

講演後、真後ろにいた特権で、調子に乗って名刺交換をお願いすると、快く応じてくれた。

さすが、売れっ子脳科学者は懐が深いな。

実質10秒ぐらいしか話す時間はなかったが、ミーハーな私にとっては、とてもうれしかった。

しかし、頭に来たのは、私が話している途中なのに、ずかずかと割り込んできたどっかの出版社の人間だった。

私が茂木さんに名刺を渡して一言「図書館でシステムやっています。図書館を変えるべく頑張っています。今度ぜひお知恵を・・・」というか言わないところで、その男は茂木さんに名刺を出して自己紹介を始めたのだ。

私は、感激と怒りの入り混じった複雑な気持ちで、名刺交換を終えたのだった。

おそらく、著名人の近くにはこのようなパパラッチというかハイエナのような輩が群がっているので、お互いさまの日常茶飯事的な行為なのだと思われるが、気持ちの良いものではない。

著名人にはへりくだり、無名人は蹴ったりぶつかったりしてどかせるのだ。

人が話しているときは最後まで聞こう。

せめて「あとどのくらいかかりますか?」とか「割り込ませていただいてよいですか?」と確認しよう。

それが最低限な礼儀だと思う。

せっかくの講演会を台無しにしないためにも。